自閉スペクトラム症とは、発達障害の一つであり対人関係や社会的なやりとりの障害、こだわり行動という基本特性があります。対人関係・社会的なやりとりでの障害というのは、人との関わりが苦手で場の空気を読むこと、比喩や皮肉、相手の気持ちや暗黙のルールを理解することなどの難しさ、言われたことを表面的に受け取る。など社会的な場面での困難さが持続することを指します。
もう一つはこだわり行動です。物の配置、物事の順番、勝敗、自分のやり方(マイルール)への強い固執、興味や関心の極端な偏りなどを指します。こだわりの程度や種類は一人一人異なります。
症状は幼少時から認められ、多くの場合1歳半検診や3歳児検診までに診断が可能です。例として、目と目が合わない、にっこりと笑いかけても微笑み返さない、指さしが少ない、模倣が少ない、言葉の発達が遅い、語彙が広がらない、こだわりが強い等が挙げられます。しかし、知的障害を伴わず言葉の発達が良好である場合には、小学校入学後や成人になってから初めて診断を受けることがあります。
原因は生まれつき脳の機能になんらかの不具合があるために起こるものと言われており親のしつけや育て方、本人の性格、愛情不足などとは無関係であると言われています。脳機能の不具合によって起こる障害であるため完治するということはなく対人関係や社会性の困難に対する配慮と、本人の特性に合致した環境調整、療育・教育によって症状の改善や発達の促進が期待できます。
データによって異なりますが人口に対するASDスペクトラム症の方は、およそ20〜40人に1人は存在する可能性が指摘されています。男女比は4 : 1で男性に多く見られていましたが、近年では本人の困難が周囲からわかりづらいため見逃されてきた女性の自閉スペクトラム症が注目されています。
幼少期からの支援やケアがなされないまま大人になっていき不安やストレスが原因となり、自閉スペクトラム症の人が別の精神疾患になってしまうことを「二次障害」といいます。睡眠障害、うつ病、強迫性障害、パニック障害、全般性不安障害、摂食障害、適応障害などがよく見られる二次障害です。
自閉スペクトラム症への対応でもっとも大切なことはできるだけ早く子どもの特性に気づき理解・支援しストレスを感じにくい生活習慣や環境を整え、二次障害に発展させないことが重要です。自閉スペクトラム症自体を治す薬はありませんが、併存している精神疾患に対して薬物療法で治療する方法もあります。
自閉スペクトラム症に対する間違った認識は未だに後を立たず「親の育て方に問題がある」「遺伝的によるものだ」といった偏見は今も残っていますが、私たちが幼いころと比較すると知識や相談機関は増えたと思います。それでも足りないと感じざるを得ません。
当相談室では発達障害のことはもちろん、こころに悩みを抱えている方。誰にも相談や話せる人がいない方にも耳を傾けます。1人で悩まずお気軽にご相談して頂けると幸いです。
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コネクトメンタル相談室